FX98EとFX1002J+について

こんばんは、Kです。
こちらではご無沙汰しております。
日本にいるのでこちらのブログにお邪魔しました。

「FX98E」を販売した際に、頻繁に質問をいただいていて返信の定型文が出来ているほど(汗
の件について、今回私の目線で詳しく書いてみようと思い記事にしてみました。
ダラダラと長文を書いてしまう形で逆に判りにくいと思いますが、お時間ある方は最後までお読み頂けますと幸いです。

なお、「FX98E」は現在在庫切れとなっておりますが、ちょうど追加生産分が入荷しておりこちらのロットより諸事情ありまして「FX-98E」と型番を改めております。
※詳細は後ほど当ブログ別記事にて掲載予定です。

今回は同じICを採用している「FX1002J+」と「FX-98E」の違いやどのような用途に適しているか、また個々の特長も踏まえて説明していきたいと思います。

両製品が共通して使用している ST Micro製の高出力デジタルアンプIC「TDA7498E」について
このICは小型パッケージICでありながら最大出力160W+160Wというパワーを有しています。
そして6-8Ωのスピーカーに接続した際、とても素直にフラットな特性を出しやすく、両モデルでもそのセッティングを踏襲しつつ回路設計を行っています。
また、SN比やTHDもこのレンジではとても優秀で高音質を維持した高出力を得やすいのが特長です。
更に、このTDA749xシリーズの音の傾向としてデジタルアンプながら高級なアナログアンプの色に似ていると良く言われる点もあり、その部分も相まって定評のあるICだと思います。
これは一つの要因として整数次倍音の再現が他の同クラスのICと比べると減衰がそこまで大きくない点もあるのだと思います。
他にも内部の入力段部分での構成による音の立ち上がり具合など要因は色々あると思います。

さて、このICを使い前述した2製品をリリースしておりますが、使用用途やコンセプトは全く違うものなので、その違いを理解して頂いてから購入をご検討いただくと製品の持っているポテンシャルを生かせる事が出来るのではないかと思います。
まずはじめにシンプルなメインアンプとして「FX-98E」の特長から説明いたします。

「FX-98E」はICメーカーのリファレンス回路を基準として設計しており、前段増幅はなくシンプルに入力されたラインレベルの音声信号をパワー増幅させ、ボリュームにより音量を調整する機能の付いた製品となります。
もちろんリファレンスそのままの指定パーツを使っていくと如何に低コストで回路を作れるかという流れになってしまいますので、電源フィルター回路を追加してクリーンな電源供給を実現し、更には大容量電源デカップリングコンデンサを搭載し、高出力時の音歪みを低減させるなど細かなカスタマイズは施しています。また、後段のパワー出力段のLPF回路にも大電流対応トロイダルコアインダクタ
を専用設計オーダーしたものを採用し、もったりした音質になるのを回避すると共にインピーダンスを極力低減し、入力された音源の音像を崩す事無くスピーカーをドライブできるように設計しています。
そこまで複雑な回路ではありませんが、ICのポテンシャルを十分に発揮している構成となっており、メインアンプとして素直におすすめ出来ます。
弊社製品であれば「TUBE-01J」をはじめに、DAC-SQ5J/X4J/X5J/X6J、SQ3J、P01J などがございますので、これらの製品と組み合わせて使うと良いと思います。
もちろん、そのままPCのアナログ音声出力やスマホのヘッドホン出力からそのまま繋いでもご使用頂けますが出来れば前段を通して十分な電流を増幅した形で接続してあげると良いと思います。

次に「FX1002J+」もICのリファレンス回路を基準としておりますが、「FX-98E」とは使用パーツから回路構成も全く違う上位モデルとなっており、前段増幅を持たせたプリメインアンプとなっております。
通常は出力を上げると歪みが強くなってしまいますが、 このアンプはオーディオとして聴ける範囲での最大出力をかなり上の方まで持ってきています。
実際に片側で100Wを越えてくる実出力でも高音質な音で聴ける範囲の設計となっており、実際私自身もその高出力で試聴テストをしておりますし、実際にご使用のお客様からのお墨付きもいただいております。
プリメインアンプという事で、入力された信号はまず前段のオペアンプ回路で増幅される訳ですが、この部分で音声信号が最適な状態に整えられてから後段(メインアンプ部)の入力に入っていきます。
音量調整も減衰式ではなくフィードバックにボリュームを介入させて倍率による音量調整です。
この前段によりである程度ノイジーな入力信号であっても、ノイズゲインを減衰してくれたりするなど、デジタルアンプICにとってはベストな信号で入力されますので必然的にクリアで高音質な出力が得られます。
掘り下げて説明しますと、電源部では「FX-98E」で使った電源フィルター回路の他に更に大容量化された電源デカップリングコンデンサを搭載していますし、前段のオペアンプ電源回路を単純な単電源からの分圧による正負化ではなく、専用のコンバーターICによって安定化された正負電源を供給すると共に、更に中点をクイックリーに追従させオフセット電圧をキャンセルさせる、オペアンプを使ったアクティブDCサーボ回路を搭載しています。
それにより、入力カップリングコンデンサレス化し、音質劣化のないハイクオリティーな音質を実現しています。
また、コンデンサ大容量化による高出力タイプのACアダプタの要求のクリアと電源による相性を回避する為だけに、MCUを使用したプログラム制御による論理給電遅延回路を構成し、高出力タイプでないACアダプターでも使用できるようにしています。
「FX1002J+」に関してはどんなソースや機器であったとしても安定した高音質を提供できるプリメインアンプとしての完成系として単体で使用する事をお勧めします。

「FX1002」自体は、かれこれ5、6年は進化し続けており、この度の進化で最終形態となりました。
実は「FX1002J」最終ロットは実質上「FX1002J+」だったのですが、"+"にするのを忘れていた為名称は「FX1002J」のままとなっております。
というのも、「FX1002J」最終ロットの1世代前の生産分より、「FX1002A」より継承進化させてきた回路を現行の最新技術を取り入れ高い技術水準で設計した回路に刷新しており、最終的にこの低価格で高価なアンプに匹敵する音質に到達することができました。
物量投入しなくてもここまでクリアでパワフルな音を再現できるんだ!という意気込みの逸品です。
お試しいただいていない方は是非お求めいただいければと思います。