FX-202A/FX-36A・FX252A・FX-98E 開発秘話

発端はかれこれ2年前ほどの事になります。
SMSL社製のSA-36AProを扱っている流れで、お客様よりSA-98EをNFJ扱いで販売して欲しいというご要望が複数ございましたため、ラインナップに加えるためにロット仕入れをし、SA-36A Pro同様弊社で外観及びリスニングチェックを行っておりました。
SA98E自体SN比は低めでしたが、チェックの際に個体差で著しくホワイトノイズが出ているものもあり、問題のない個体を選別した結果、半分弱が不良判定となってしまいました。
一度この仕入れを無かった事にしてその分をSA36A Proに変えていた状況でした。

この段階で原因をある程度特定し、情報としては製造元に上げていたと思います。
その原因というのは

・回路のアートワークのベタGND部分でアンプ出力段のゲートスイッチノイズがアナログ段のGNDに影響してSN比が低下している。

・使用しているACアダプタからのリップルノイズを内部の電源平滑コンデンサが十分取り切れていない為に全高調波歪とSN比が低下

・部品の精度誤差
貼り付けタイプの積層セラミックコンデンサ自体精度差もしくは不良ロット
こちらが結構厄介な問題でして、著しくホワイトノイズが多くなっている(個体差あり)の理由として、貼り付けタイプの積層セラミックコンデンサ自体精度差が大きいのと、その部品の配置間隔とが相乗し、その回路によりQが合う事で共振回路が形成されてしまいコンデンサが鳴っていたか、そのコンデンサ部品自体のロットの不良だった可能性が推測出来ます。

実際、その周辺のコンデンサを同容量で総入れ替えした結果、改善が確認できたことと、複数個所プローブを当てていくと、そのSMDのパスコンあたりでその発振のゲインがドンドン大きくなっているのが確認できたため、特定に至ったという次第です。

それで、これらの情報を伝えたうえで、問題を解決したロットが完成した後に取り扱いする予定でした。


SA-36A Proに関しても最初の頃同様の問題は有ったものの、そこまでアンプ自体の出力が大きくなかったので仕様として受け入れておりましたが、やはりそれでも弊社リスニング検品の際に、入荷数の10-25%を個体差による大きなホワイトノイズで返品交換していたのが現状でした。
その後その情報も上げていたので、同一型番のアンプIC変更という流れで解決していった感じです。


このような経緯でSMSLとお付き合いを続けていたのですが、
去年2016年末頃に突然、SMSL側の担当者と名乗る方から、
NFJで販売しているSA-36A Proの価格が安すぎるので、SMSL側が用意した型番別販売価格リストに沿った売価設定をするようにとの内容で、
『価格改定を行わない場合は日本のAmazonやYahooにクレームをして販売を止めてもらう』というような売価を上げるよう一方的に迫る内容の書面を通知されました。

入荷後の検品なども行い、更にコストがかかっているのにもかかわらず、弊社の営業努力で安価に設定しているだけで、弊社としてはこれを適正価格として決めており、
好評をいただいていたとともに、ブランドイメージの向上にも貢献していたと思います。
また、SMSL社とは創業当初より情報提供をするなどの協力関係を築き、深いお付き合いしていた事もあり、この通知にとても衝撃を受けました。

価格引き上げによる影響を受けるのはそれを購入したお客様になってくると思いますので、
メーカー側には価格をコントロールできる法的強制力は無く、そういった通知は日本の法律の下で公正取引法違反になるので価格を上げての販売は出来ない旨を伝え、お断りいたしました。

現在のSMSL製のアンプは昔と違い、価格設定が高くお感じになっている方もおられると思いますが、実はそういうからくりが裏で有ったというのが現状です。

以前から参考価格としての認識で価格設定があったのは把握していましたが、まさかこのような強行に出てくるとは思いもしませんでした。

付き合いでSMSLのオーナーと何度か食事をしたり会社で情報交換を行っていた経緯もございまして、今回この告知をしてきた担当はオーナーと別の方でしたので直接オーナーと話し合いましたが、「担当が決めている事が全て」という事でした。。。
とても残念な気持ちと驚きを隠せなかったのが現状です。


長くなりましたが、上記のような経緯があり、
その後しがらみも特にないのでNFJ主導で相当の製品として今回


この3機種をリリースするに至りました。
前述した問題の解決に加え、今まで細かい部分で気になっていた箇所は全て最適化しており、音質面でとても良い製品に仕上がっています。

ただ、FX-AUDIO-製品の中ではこの構成ですと廉価モデルの部類に入りますのでNFJなりに適正価格を決めております。
ですので、比較すると安すぎて不安に思われる方がおられると思いますが、前述の流れの通りの基準での価格設定ですので、ご理解頂けますと幸いです。

回路及び仕様に関してはほぼ互換に近い形になっていますが、細かい部分で高音質化を狙ってカスタマイズしています。
部品の配置であったり、追加回路であったりそういった部分は商品紹介の内部写真を見て頂ければご理解いただけると思います。

新しい流れで進められたらと思っておりますので、これからもFX-AUDIO-製品をよろしくお願い致します。